抽象を「聞く耳」

キキミミグラフィックス、白澤です。
BLOGを読んでいただき、ありがとうございます。

4月にキキミミグラフィックスという屋号で開業してから、ご挨拶にうかがったお客様や関係者様から幾度も聞かれた質問がありました。それが

なんで「キキミミ」なんですか

です。視覚に訴えるグラフィックデザインを主たる業務にしているのに、なぜ聴覚を屋号に据えたのか、とても不思議に思っているご様子でした。

私もデザインは視覚優位だ、と強く思っていました。ところが、ある人から「はじめに言葉あり」つまり、すべてのものごとは言葉から生まれる、と聞いてから疑問が湧いてきました。デザインの前に「言葉を聞くプロセス」がある。なら「はじめに言葉あり」もアリなのでは?と。

ものづくりのプロセスで「聞くこと」は、アウトプットされた結果=デザイン、を左右するポイントで、一般的に「ヒアリング」と言われる部分です。お客様の言葉を自分なりに理解し最終的に形として落とし込みます。耳に入ったその言葉を「どう」認識しているか、会話のポイントを「どう」掴んでいるかでデザインも大きく変わります。

お客様との会話では「はっきりと」「大きく」など少々ファジーな表現を使います。さらに「シャキッと」「すっきりと」などの抽象的な言葉も出てきます。これは経験知の世界です。過去にはさらに抽象度の高い表現も出てきたこともあります。中でも特に忘れられないのは

ねえねえシラサワさん、今度の広告、「バーン!」っていきたいんだよ!「バーン!」って。

でした。ビジュアルコンセプトも決まっていない段階の第一声がこれです。「なんじゃそりゃ!」と思わず言いたくなるような抽象度の高さに頭を抱えましたが、結局「バーン」は「インパクトのある掴み」のことで、そのことが明確になってから広告ビジュアルの方向性も定まっていきました。

クオリティに直結する「キキミミ」。
もしそのデザインが「キキミミ(=その言葉)から生まれた可能性」から創作されていたら。
わくわくしませんか。

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